限りない日々の逃走劇

主にtacicaを褒め讃えるためのブログです

萩原朔太郎『月に吠える』×ヨルシカ「月に吠える」【感想】

文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。
第三弾は、萩原朔太郎『月に吠える』とヨルシカ「月に吠える」です!

 

国内外含めた新潮文庫の文学作品6作を読み、それを元にしたヨルシカのコラボ曲を聴いて、それぞれの感想を書いてみようという試みになります。

コラボの詳細は下記の記事を参照。

spice.eplus.jp

 

第三回となる今回は「月に吠える」ですね。
こちらは他の5作品とは異なり、小説・童話ではなくて詩の形態をとっています。
お恥ずかしながらわたくし、こういう記事を書いているにも関わらず、いわゆる文学作品というものにあまり触れてこなくてですね。そのうえ詩となると、もうからっきしな訳ですよ。
記憶にあるのは小学生の時分に授業で読んだ「おれはかまきり」ぐらいなものです(”おう なつだぜ”のやつ)。
むしろ、だからこそヨルシカにハマったこのせっかくの機会に、文学を嗜んでみようかしらと思った次第です。

そんなわけで初めて本格的に詩というものに触れた感想ですが、一言で言えば難しかったです。
何か裏に意味があるのだろうなとは気づけるのですが、その先が分からない。自己解釈ができた詩は1,2割程度で、後はさっぱりでした。うーん、実力不足。

で、印象に残った詩を何個か並べて、「よくわからないけどすごかった」みたいな小学生が書いた授業の感想未満のセリフを置いてとんずらすることも考えました。
でもそれって「ヨルシカの顔は?年収は?恋人はいる?→分かりませんでした!いかがでしたか?」みたいなクソ記事となんら変わらんよな(こういうのが実際に腐る程あるから困る)と思い直します。

悩んだ末、萩原朔太郎の詩について記した書籍を読み、生い立ちや境遇について知った上で記事を書いてみることにしました。
彼の抱えた葛藤と病症。それがどう詩に結び付いているか。
そして、ヨルシカは朔太郎の詩をどう読み取り、曲へ反映させたのか。
それを、拙いながらにも書くことができたらいいなと願っています。

前置きが長くなりましたが、感想へ参りましょうか。
ちなみに、本記事では著作権が切れているのをいい事に朔太郎氏の詩をべたべたと貼り付けています。
何の先入観もなしで詩を堪能したいという方は先に『萩原朔太郎詩集 (新潮文庫)』を読むことをお勧めします。

 

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グリム「ブレーメンの音楽師」×ヨルシカ「ブレーメン」【感想】

文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。
第二弾は、グリム童話ブレーメンの音楽師」とヨルシカ「ブレーメン」です!

 

 

国内外含めた新潮文庫の文学作品6作を読み、それを元にしたヨルシカのコラボ曲を聴いて、それぞれの感想を書いてみようという試みになります。

コラボの詳細は下記の記事を参照。

spice.eplus.jp

 

第二回となる今回は「ブレーメンの音楽師」ですね。
超有名なお話なので、内容含めご存じの方も多いでしょう。かく言う僕も、物語の顛末を含めてすでに知っていました。
幼少期におぼろげながら「変な話だなー」という感想を抱いたのを憶えています。

で、実際読んでみるとやっぱり変な話でして。はじめから終わりまで無軌道で荒唐無稽で、「なんじゃこりゃ」という印象が一番にきました。
しかしながら、自由奔放に進んで行く物語に引っ張られるのは嫌じゃなく、寧ろ心地良さを感じましたね。

その軽妙なビートが、ヨルシカの「ブレーメン」にも大いに反映されていると思います。
あっけらかんとしていて、ふざけているように思えるくらいに明るい。だから聴いているだけで気分が晴れてくる。

ただ、グリムとヨルシカの2つのブレーメンに共通しているのですが、どちらも明るいだけじゃないんですよね。
ブレーメンの音楽師」に登場するどうぶつたちは、実はとても笑えないバックグラウンドを持っているし、「ブレーメン」の歌詞にもそこかしこに不穏な気配が漂っている。
だからこそ、陰を笑い飛ばすような明るさが際立っている、というのが両者に通じる理念ですかね。

 

では、そこらも含め、個々の感想で詳しく述べていきましょう。
一応ネタバレ注意です。
ブレーメンの音楽師』は童話集であり、話のあらましを述べても作品を体験するにあたって不利益になる事はまず無いと思いますが、念のため。

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宮沢賢治「風の又三郎」×ヨルシカ「又三郎」【感想】

文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。
第一弾は、宮沢賢治風の又三郎」とヨルシカ「又三郎」です!

 

 

初めなので、趣旨について軽く話しておきましょう。

ヨルシカという素敵なバンド(でいいのか?)がこの世に存在するのはよく知られております。
コンポーザーであるn-buna氏の作る繊細な世界観を、ボーカルsuis氏の美しく色彩豊かな歌声で表現する、特異なアーティストです。

 

そんなヨルシカが、国内外の文学作品6作とコラボし、それぞれの作品がモチーフとなる楽曲をリリースしました。

spice.eplus.jp


コラボに際し、加藤隆氏によるイラストの限定カバーが書き下ろされています。書店によく足を運ぶ方は見覚えがあるんじゃないでしょうか?

で、ここ最近になって漸くヨルシカにハマった時代遅れ人間がここにいてですね。
文学的な歌詞とクリアなギターサウンドに魅せられて、気づけば最新作『幻燈』を除く全楽曲を聴いてしまった訳ですよ。
なので、せっかくの機会だし、コラボ楽曲は元になった作品をちゃんと読んでから、一曲ずつ大事に聴こうと思いまして。ついでに感想を記事にすれば、PVが望めるより解釈が深まると思い、本記事を書くに至るといった感じです。

前置きはほどほどにして、まずは楽曲の元となった小説、宮沢賢治の『風の又三郎』の感想に入りましょう。

一応ネタバレ注意です。
文学作品であり、話のあらましを述べても作品を体験するにあたって不利益になる事はまず無いと思いますが、念のため。

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何時まで経っても僕は僕だった

あることで大きな失敗をして、どうしようもなく悲しくなったので、ここに吐き出したいと思う。ただただ鬱屈した気持ちを出力するだけなので、読まないことを推奨します。

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ヨルシカが良すぎて夜しかもう眠れない

はい、3万回くらい言われているでしょうが言わずにはいられませんでした。
皆さんこんばんわ、最近ヨルシカにどハマりした僕です。

いや~ほんとサウンドから歌詞まで超好みで今まで何で聴いてこなかったんだろうってなりました。誰か教えといてよ!

きっかけは極めて些細なので詳しく書きませんが、youtubeでとある(顔でギターを弾かれる方の)ヨルシカのイントロギターを弾いた動画を見て何とはなしに何曲か聴いたのが入り口でした。
そしたらまぁいいこといいこと!
ボーカルsuisさんの声の良さは言わずもがな、想像の10倍くらいはギターが前に出てきてめちゃカッコいいし、歌詞はとてもメジャーなアーティストには思えないほどに暗い。
全部の要素が好みのど真ん中って感じで一気に好きになりました。

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君でも聴ける”君”の歌

どうも皆さん、ご無沙汰しております。

突然ですが皆さんは今日も君を愛していますか?
君に好きだと囁きましたか?
君を思って眠れない夜を過ごしていますか?

僕は君を愛してないし君に好きとも言っていないし夜はぐっすり眠れています。

そもそもよぉ~

 

 

 

 

 

 

 

歌番組をたまに見るんですが、体感で7割くらいが前述したようなどこの誰だか知らない”君”を讃えるような曲です。
猫も杓子もラブラブラブ。
その愛の輪に加われぬ僕は、今日も枕を涙で濡らすのでした。
あゝ無情。

back 〇umberとか〇fficial髭男dismとか一生聴けない。
最早敵です(彼らはなんも悪くないんだけどね)。

勿論、誰かを愛し誰かに愛されることは素晴らしい事だと分かっています。
その偉大さを讃えた歌が世のメインストリームとなるのは必然でしょう。

だから僕の言ってることなんて所詮負け犬の遠吠え。

でも......!、でもさぁ!!

きっと何者にもなれない僕にだって
音楽を聴く権利くらいあるだろ!!!

 

......取り乱してしまいすみません。

そんな愛に飢えた悲しきケダモノである僕にも、素直な気持ちで聴くことができる”君の歌”が存在します。
それは家族や恋人或いは友人といった、愛しい人を指す”君”じゃありません。
もっと普遍的で、無条件な”君”。

そう、リスナーを指す”君”です。

あなたが聴いた瞬間、あなたはその曲の”君”になれる。
そんな懐深い曲たちが、この世には存在します。

ということで、僕でも聴ける”君”の歌をいくつか紹介したいと思います。
当然”君”がリスナーを指しているというのはあくまで僕の一解釈にすぎないので、信じるか信じないかはあなた次第です(責任逃れ)。

 

最初に書いてあることに共感できる君。
君と僕は仲間だ!
僕が好きな曲を、きっと君も気に入ってくれるだろう。
これから紹介する曲が、少しでも君の過ごす日々の力になることを心から願っている。

 

愛する君がいる方々。
帰れ!💢
......と言いたいところですが僕は器が大きいので、あなた達にもこの記事を見る権利を差し上げましょう(誰から目線)。
こういう形の”君”もあるんだなと慮っていただけたら幸いです。

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今更!『スーパーダンガンロンパ2』感想

はい、発売から10年以上経ってようやく『スーパーダンガンロンパ2』をプレイした時代遅れ人間の感想です。

 

いやー、無印に引き続きこっちも超名作でした(今更)。
かなり理想的な続編なんじゃないか。

ちなみに無印の感想はこちら。

ahobird.hatenablog.com

はい、露骨なアクセス稼ぎです。

まぁそれは置いといて。
全体的に前作よりパワーアップしていて本当に素晴らしいなと。
事件の難易度、トリックのクオリティ、ゲームシステムの改善とどれをとってもより磨きがかかっていて言うことなし!

特に大きいのは”超高校級の〇〇”を活かした展開作り。前作ではほとんど事件に絡まなかったこの設定が今作ではバリバリ関わってくるので、非常にユニークです。プレイ前に想像していたダンロンに近いのは本作の方かな。
超高校級の才能を活かしたトリックを使うと犯人が簡単に特定できてしまうという懸念もあったけど、そこら辺の塩梅は絶妙で、犯人が分かったタイミングで漸くわかるくらいの難易度に設定されている。

そして触れなくてはならないのが例のあの人なのだが、まぁこれは何の先入観も持たない方が絶対楽しめるだろうから初見さんの為に触れずに、ネタバレ感想の方でがっつり書きたいと思います。
......まぁもう今からやるって人ほぼいない気がするけど。

あと、続編における最も重大な点である「前作要素の扱い」なんだけどここも上手かったなー。
こっちも詳しくはネタバレの方で話すけど、飛び道具と盛り上げの両方に貢献していて凄い。続編における不安要素が見事にクリアされてますね。

あとはやっぱり終盤の展開かな。
これでもかとばかりに伏線を回収して、大風呂敷を畳み切るから大したもの。ちゃんとラストに盛り上がりを作れる、デスゲームものの鑑だね(誰から目線)。

 

ネタバレなしだと語れない要素ばっかりだから、ちゃっちゃとネタバレありの感想に移りましょ。

あと、ダンロン2自体が前作のネタバレを多分に含んでいるんで、絶っっ対に!前作からプレイしたほうがいいですよ。
なんならパッケージが若干ネタバレしてるもんな......。

 

ー以下ネタバレ注意ー

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