限りない日々の逃走劇

主にtacicaを褒め讃えるためのブログです

春のプレイリスト、作ってみました!

日増しに暖かくなってくるのを感じる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は日に日にくしゃみの回数が増し、スギ・ヒノキへの怨嗟を確固たるものにしていくばかりです。

今回は、”プレイリストの記事を読んでみたい”というリクエストを先日いただいたのでそれに挑戦してみました!
リクエストをいただいたのはいつも楽しく読ませてもらっている、偽物の映画館様で、春のプレイリスト記事も上げられています。

 

reza8823.hatenablog.com

 

聴いたことのない曲ばかりで新鮮でしたし、偏に春といってもアンニュイだったりダンサブルだったり、様々な色味があるのも面白かったです。
それに倣いまして、僕も春の曲を集めたプレイリストを作ってみました!
こちらです!
じゃ~~~ん。

 

open.spotify.com

 

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フィードバックファイル2(年目)

皆さま、平素より大変お世話になっております。
私事ですが、先日でブログを続けて2年が経ちました。いや~、光陰矢の如し、烏兎怱怱ですね。
せっかくなので、去年同様ちょっと振り返ってみようかしらと。
いつにも増して実のない個人的な記事なので、どうぞお気軽に読んだり読まなかったりしてください。

 

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ワイルド「幸福な王子」×ヨルシカ「左右盲」【感想】

文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。
第五弾は、オスカーワイルド『幸福な王子』とヨルシカ「左右盲」です!

 

 

国内外含めた新潮文庫の文学作品6作を読み、それを元にしたヨルシカのコラボ曲を聴いて、それぞれの感想を書いてみようという試みになります。

コラボの詳細は下記の記事を参照。

spice.eplus.jp

 

今回扱うのは「幸福な王子」、「左右盲」になります。
「幸福な王子」はアイルランド出身の詩人、作家、劇作家であるオスカーワイルドが著した童話。
僕は知らなかったのですが、このお話は結構有名みたいですねー。
なのでご存じの方も多いかもしれません。

童話というだけあって、つばめや銅像が喋ったり、煌びやかな宝石が登場したりと、一見するとメルヘンチックに感じられるでしょう。
しかし、そんな夢のある世界観に対し、作品のテーマは自己犠牲というシリアスなものです。
街に住む困窮した人々を救う為に、文字通り自らを差し出す王子と、それに仕えるつばめ。
物語の終わりはまるで、幸福とは何かと作者から問われているようでした。

他者の幸せを心より願う王子の、その高貴な精神に宿る美しさが胸を打つ、読み継がれるのも納得の名作だと思います。

 

一方、ヨルシカ「左右盲」は普遍的な恋人との別れがテーマ。
愛しい人の姿かたちや思い出が徐々にぼんやりと薄れていく様子を、右と左の区別がつかない人の視点で喩えた、非常に秀逸な歌詞の楽曲です。
そのテーマや題材故に、「幸福な王子」との関連性は低いように見えるかもしれません。
ですが、注意して聴いてみるとそこかしこに、原作の持つ美しさが散りばめられています。
それを、「幸福な王子」の感想を通じて、明かしていけたらなと思っております。

 

ということで、まずはオスカーワイルドの童話全集、『幸福な王子』の感想から参りましょうか!

例の如く、ネタバレ全開になりますのでご注意を。

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2023年を共に過ごしたアルバム

今年もあと僅かとなりました。皆さまお元気でしょうか。
私は寒さに凍えて布団に籠城する毎日を送っています。ほんと年々寒さに弱くなってる気がするなぁ。

それはさておき。
2023年は、個人的に新しいアーティストの音楽に触れた年でした。
今まで避けていたような流行りの曲も聴けて、好きなアーティストも増えて、音楽面では非常に充実した年になったなぁと振り返ってしみじみ思いますね。
私生活は、まぁ......アレですが。

話は少し変わりまして、日頃愛読させてもらっているブログの方が、その年にリリースされたアルバムをランキング形式で毎年紹介されているんですよね。

 

reza8823.hatenablog.com

 

映画や本についての丁寧な感想を毎日上げられている凄い方で、音楽の知識もとても広く、いつも羨望を募らせながら楽しく読ませてもらっております。
それに憧れて、よく聴いたアルバムとか曲についての感想を文章として残してみることにしました。
音楽の詳しさが雲泥の差なので、僕の方はランキングでもないし、今年リリース以外のアルバムもありますが、少しでも楽しい記事にできたらいいなと思っています。

では、どうぞ!(年末番組を意識した掛け声)

 

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阿呆学生に憧れたド阿呆/或いは浮遊する孤城に木霊した慟哭

 

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているからだ。

 

大学生活も終わりに差し掛かる4回生の年の瀬、私は音のない部屋で己のキャンパスライフについて思いを馳せている。黒髪の乙女は隣にいない。
街中ではアベックがいけ好かない高級洋食店を予約の山で賑わせ、吉野家の牛丼大盛りが二食分は優に乗るであろう皿にちょこんと居座る、兎でもその消化器官を満たせないような極少量の、現代アートめいた食料を有難がり、理性ある人間ならば恥ずかしさに顔を日暮れの色に染めてしまうような愛の言葉を囁き合っている。
そんな町が不埒なピンク色で染まる日に、私は一人、手を泥まみれにして悔恨の穴を深く深く奥へ掘り進めている。
勿論、穴に落ちるのは私自身だ。

あゝ斯様な自己憐憫が一体何を生むというのだろうか?

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ヘミングウェイ『老人と海』×ヨルシカ「老人と海」【感想】

文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。第四弾は、ヘミングウェイ老人と海』とヨルシカ「老人と海」です!

 

 

国内外含めた新潮文庫の文学作品6作を読み、それを元にしたヨルシカのコラボ曲を聴いて、それぞれの感想を書いてみようという試みになります。

コラボの詳細は下記の記事を参照。

spice.eplus.jp

 

老人と海』の感想に入る前に、ちょっとした報告を。
私事ですが、先日になって上記の新潮コラボ6冊(+「夢十夜」と『アルジャーノンに花束を』)を読み終わりました。
6冊を読み切るという勝手に課していた条件をクリアしたので、画集版の『幻燈』を購入し、リリースから半年経過して漸く拝聴した訳ですよ。

で、その感想はというと......ちょー良かったですね!
絵と音楽の組み合わせが生む効果とか、アルバム通してのテーマみたいなものは別の機会(あるのか?)に述べることとして、楽曲が本当に素晴らしかった。
コラボの6曲は言わずもがな、他の楽曲も全く劣らないクオリティでただただ傑作。以前までのヨルシカにあった攻撃性は薄れ、その代わりに心の機微をピアノの音で表すような美しい曲が増えた気がします。
(歌モノの)全ての楽曲が文学作品を下地としている為一つ一つの曲に奥行きがある上で、アルバム通して聴いてみたらぼんやりと統一性が見えてきたりと、かなり聴きごたえのある作品になっていると思います。

サブスク等でリリースしてない歌モノ6曲も、他の曲と遜色なかったです。
「又三郎」のような疾走感抜群のロックや、「月に吠える」や「451」のようなダークな曲はないので、それらに似たものを求めるとがっかりするかもしれません。
対して、「都落ち」や「ブレーメン」みたいなノリのいい曲や、「左右盲」「第一夜」みたいな静かでエモーショナルな楽曲が好きだという人は絶対気に入ると思います。
ってかよく考えると画集のみの曲どれもすごく好きだわ。「夏の肖像」「パドドゥ」はアルバムの中核を成しているし、「雪国」「いさな」も沁みまくるし、何と言っても「さよならモルテン」が最高!
形式がかなり特殊だし、値段も張るので購入を躊躇っている方も少なくはないでしょう。
もし本記事をお読みの貴方もその一員だとしたら、私は「買わない手はないですぜダンナ」と揉み手でにこやかな笑みを浮かべながら購入することをお勧めします。
さぁ、ポチろうぜ!(ダイマ

 

 

閑話休題
第四回となる今回は『老人と海』。
こちらはかなり有名な作品ですね。書店で目にする頻度も高かったです。
タイトルも良さげで気にはなっていたのですが、格式高そうな印象があって長らく敬遠していたんですよねぇ。ほんと勿体ない。
それで今回、ご存じの通りヨルシカさんに機会をいただきまして、満を持して読んでみた次第です。

感想としては率直に、名作ですね。
海とそこに住まう生き物の描写が一貫して美しいし、話の中心である巨大魚との戦いは迫力満点。
なにより老人・サンチアゴがひたすらにカッコいいんですよ!
どんな苦境に立たされても決して折れないで、ユーモアのある言葉を吐いてみせる。
その姿はハードボイルド以外の何者でもありません。
煙草も酒も出てこないし、ヒロインもいない。だけどこれ以上ない程にハードボイルド。
老人がこぼすセリフの一つ一つがクールすぎる。本を握る手に力が入るくらい緊迫した場面でも軽口を吐いてみせる老人に痺れっぱなしで、終始ニヤニヤしながら読んでました。

上記のように本作は冒険小説やハードボイルド小説の(極めて良質な)エンタメ作品とも捉えられるので、他の5作に比べてかなり読みやすかったです。
大衆小説しか読まないような僕でもめちゃくちゃ面白かったから、ヨルシカで文学に興味を持ったけど普段小説を読まないから手を出すのに躊躇っているみたいな人には全力でおすすめします。

また、真に迫った漁の描写が魅せるのは、物語的な面白さだけではありません。
四方八方を海に囲まれ、その身一つで魚と格闘する老人の姿から見えてくるのは、人間が持っている最も価値のあるモノです。
それが何なのかを明かすのは、まだ読んでいない人もいると思うので後に回しますが、僕は『老人と海』に、とても輝かしい魂の煌めきを感じました。
青一色に染められた海という単純な世界だからこそ、人間の本質的な美が見えてくると言いましょうか......上手く語れないけど、とにかく圧巻でしたね。
老若男女問わず、誰の心にも深く残るであろう、普遍的な人間賛歌。地球から海がなくならない限り、この作品の価値は揺るがないのでしょう。
不朽の名作って言葉はこういうものを指すんだなと思い知りました。

 

やはり具体的な内容を含めないとフワッとしたことしか書けないので、ネタバレを踏まえた感想に移りましょう。
一つ忠告しておきますと、この作品は、内容を調べずに読むことを強く推奨します
何か凄いどんでん返しがある訳でもないし、何なら僕がネタバレだと思う部分を紹介で明かしているのも結構目にします。
それ自体を咎めるつもりはありません。著作権が切れるくらい昔の小説だもんね。
ですが、まっさらな気持ちで初めて作品に触れたときに抱く感動以上のものって、やっぱりないと思うんですよね。名作ならばなおさらです。
なのでこれから先の感想も、できれば『老人と海』を読了してから読んでいただけたら幸いです。
ていうか文庫で150ページもいかない文量だし、訳も読みやすい(少なからず僕が買った新潮社版は)からマジ読んでくれ!
損したと思ったら僕を東京湾の底に沈めてくれても構わないから!

......なんか読んでる人に頼んでばかりになっちゃったな。
結局僕が何と言おうが、どうするかは貴方の自由なので、気にせず貴方の好きなように選択してください。

ということで、以下はネタバレを含んだ感想になります。

 

 

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堕天使拷問刑が届いたぜ

はい。タイトル以上の内容はない私的な日記です。

最近巷を騒がせている、とある本があります。
そう、飛鳥部勝則の『堕天使拷問刑』です。

www.hayakawa-online.co.jp

知らない方の為に軽く説明を置いておきますと、この作品は2008年に出版されて以来絶版になっていた稀覯本なんですね。
絶版になっていた理由に関してはセンシティブな議題だし、僕も全く詳しくないので伏せますが、とにかく流通数が少ない作品だったわけです。
それに対し内容がどうもブッ飛んだものらしく、カルト的な人気を博して噂が広がり、結果として中古で2,3万程の値が付く程までに高騰した......って感じの経緯で合ってますか?

不正確さを多分に含む情報なので、詳しくは各々調べてもらいたいです。ネットの記事を安易に鵜吞みにしちゃダメだぞ!(最低な開き直り)

まま、とにかく。そんな幻と呼べるほどの作品が、この2023年10月に再版した訳ですね。
いや~凄いよねぇ。火蛾も文庫化されたし、鵼の碑は出るし、一体全体今年はどうなっているんだ。
浅いミステリ読みの僕でもびっくりするようなニュースばかりで、当惑してしまいます。

そんな賑わいに乗せられて買った『堕天使拷問刑』が、先日我が家に届きました。

これだ!

じゃ~~~ん

いやー、いいね!
写真だと分からないかもだけど結構分厚いです。チラリズム満載の装丁も相まって存在感抜群。
あと、おまけ掌編が2冊もついています。
5000円弱かかるだけあって満足度が高い。

後は肝心の中身ですが......、まだ読んでいないのでなんもコメントできません。
結構文量が多いので、まとまった休みにじっくり読もうと考えています。
楽しみだぜ。

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