限りない日々の逃走劇

主にtacicaを褒め讃えるためのブログです

春のプレイリスト、作ってみました!

日増しに暖かくなってくるのを感じる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は日に日にくしゃみの回数が増し、スギ・ヒノキへの怨嗟を確固たるものにしていくばかりです。

今回は、”プレイリストの記事を読んでみたい”というリクエストを先日いただいたのでそれに挑戦してみました!
リクエストをいただいたのはいつも楽しく読ませてもらっている、偽物の映画館様で、春のプレイリスト記事も上げられています。

 

reza8823.hatenablog.com

 

聴いたことのない曲ばかりで新鮮でしたし、偏に春といってもアンニュイだったりダンサブルだったり、様々な色味があるのも面白かったです。
それに倣いまして、僕も春の曲を集めたプレイリストを作ってみました!
こちらです!
じゃ~~~ん。

 

open.spotify.com

 

 

spotify以外のアカウントを持っていなかったのでこれだけです......。他の音楽サブスクユーザーの皆様、すまぬ)

 

春というお題だけで曲順を決めるのが難しかったので、さらにテーマを定めています。

ずばり「春の獅子と子羊」です!
うん、それだけじゃ何が何やらですね。

野暮ですが説明をしますと、これはイギリスの天気にまつわることわざ
March comes in like a lion and goes out like a lamb.”
からの引用です。3月の初めは風が未だ冷たく激しいのに対し、日が経つにつれて徐々に気候がやわらぎ、月が終わる頃には風が穏やかになることを、ライオンと子羊で喩えた言葉みたいです。

 

僕の好きな『3月のライオン』という漫画のタイトルの元となったことわざでもあります。というかそれきっかけで知りました。
関係はないけど話したいから話しますと、将棋を題材とした作品なのですが、主人公の桐山君が抱える辛い過去が、色々な人との出会いで癒えていくストーリーラインが本当に素晴らしい。苦しい困難の数々に負けない人と人の強い繋がりが、陽だまりのような温かさをもって感じられる、名作です。
ちなみに推しは島田八段です。満身創痍の中、故郷である山形の旅館で対局をするために、作中最強の棋士・宗谷名人へ立ち向かう姿を見て、彼のことを好きにならない読者はいないでしょう。

 

閑話休題、プレイリストの解説に戻りましょう。
先述した春のお天気のことわざに則って、曲順を決めていきました。
春の獅子と子羊。
前半はアップテンポの曲が激しい春嵐の如く身を揺らして、後半はゆったりとした曲が温かい春風のように頬を撫でる、そんな全体の流れをイメージしてもらえると嬉しいです。
あと、そこまで意図してなかったのですが、歌詞にも大半の曲で”風”という言葉が入っていますね。みんな春といえば春風を思い浮かべるのかな。

 

あれこれ賢しらにぺらぺらと語りましたが百聞は一見、いや一聴に如かずということで、とりあえず聴いてみてねー!

以下、引き続きぺらぺらと一曲ごとに紹介していきます。

 

1. 三月がずっと続けばいい/三月のパンタシア


www.youtube.com

タイトルになっている「三月がずっと続けばいい」の言葉が歌い出しに始まり、何度も繰り返される非常にキャッチーな一曲。
ストレートに”別れへの憂い”といった感じで、今時期にピッタリ合います。

正直に言うとこのアーティストについてあまり存じていなかったのですが、”三月のパンタシア”はプロジェクト名らしく、ボーカルのみあさんを中心に、気鋭のクリエイターが楽曲提供に参加するという形態で活動されているみたいです。
ヨルシカのコンポーザーであるn-bunaさんもいくつかの曲に携わっていますね。

この曲はとにかく音の幅や手数が多くて、ギターとピアノが華やかだし、リズムは軽快、クラップや合唱曲チックなコーラスも加わってとっても楽しい。
そして春の祝祭を詰めた音が高らかに響くほど、裏腹に否が応でもさよならをしなくてはならない事実に追い詰められていく。
そんな心が現実に追い付かないアンビバレントな心境が、実にモラトリアム只中の春だなぁと思います。

残念ながら三月もずっとは続かず、あと十日余でおしまいです。

 

 

2. bloom/ネクライトーキー


www.youtube.com

2曲目はネクライトーキーが最近リリースしたこちら。
”芽吹くような”というフレーズとシンセのキラキラしたサウンドが春の始まりを感じさせてくれます。

しかし、明るい曲調とは反対に、結構直球な失恋ソングだったり。
(自己解釈ですが)片思いをしていた幼馴染の子が大学やら高校デビューなんかをして、髪を染めて”咲く”ように変わっていってしまう。それをイケてない主人公が煩悶しながら眺めているっていう、何とも花のない夢もないストーリーです。

でも、どんな髪色になったとしても、夕暮れになれば茜色に染まるし雪が降ったら白に隠れるし月が照らせば青を纏う。
そして何より!どんな髪色でも!!このステージからは見つけてみせるぜっ!!!
そんな半ばやけっぱちの前向きさが大変ロックで大好き。

消えない痛みがあるならば

土のついちまった憧憬の思い出さ

そのファズでオクターヴギターを弾け!

このフレーズも最高だし、直後に朝日さんのギターソロが来るのも熱すぎる。
痛みや傷を歪んだギターで音楽に昇華してくれるのが、個人的にロックの好きなところなので、まさに!って感じ。

この曲が収録されている最近リリースされた『TORCH』もめちゃくちゃ良かったです。
もっささんの歌い方が1stアルバムの頃と比べると幅がでまくりで、かわいいだけじゃなく、カッコいい曲が増えましたね。

 

 

3. PINK/キタニタツヤ


www.youtube.com

紅白に出場し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのキタニさん。
僕も年明けくらいから本格的に聴き出して、最近は4thアルバムの『BIPOLAR』をリピってます。コンセプチュアルで素晴らしいアルバムなんすよぉ!

「PINK」は、その『BIPOLAR』を彩る一曲。
出だしの「ピンク」という一言からのサイケなシンセフレーズで、つかみからインパクトが抜群。
サビで歌われる”あの樹の下には×××が埋まっている!”というフレーズも強烈で、頭に残ります。
これは、梶井基次郎作「桜の樹の下には」からの引用ですね。

www.aozora.gr.jp

桜の美しさを信じられない書き手が、桜の樹の下には死体が埋まっていて、そこから養分を吸うことであの優美は成り立っているのだと妄想する、という内容の掌編です。
短い文量ですが、狂気じみた熱量がそこかしこに感じられて、読み入ってしまいます。

キタニの「PINK」は、そんな危うい精神を見事に抽出していますね。
聴いていて不安になるけど中毒性も高いダークな音作りとか、「異常なんだよ、ほら」と聴き手に訴えかけるトーンとか、小説の雰囲気にめっちゃ合っていると思います。
あと、”おれに幸福は似合わない”とか言っちゃうひねくれ具合が大変良き。
頭抜けた天才なはずなのに(もしくは故に)、孤独とか劣等感とか葛藤ばかりを歌っていて、しかもそれを嫌味なく聴けてしまうのがこの人の凄いところですね。

元ネタの方もなのですが、綺麗なものに対して裏があるんじゃないかと疑って掛かる気持ち、個人的に結構共感できちゃうんですよね......。浅ましいけど、(本当か~?)と猜疑心をどこかで抱いてしまいます。
だからこそ、”桜の樹の下には死体が埋まっている!”なんて事実無根の空想が腑に落ちてしまうし、この曲にも妙に吸い寄せられてしまう。
その奇妙な魅力の根源は、「桜の樹の下には」の

俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心は和んで来る。

という言葉に集約されるのかもしれません。

 

4. 自閉探索/ASIAN KUNG-FU GENERATION

個人の見解として、アルバムの4曲目は野球の打順と同じく、一番パワーのある曲が来ると全体のバランスが良くなると考えております。
ということで信頼と安心のアジカン選手に、その大役を務めていただきました。

アジカンの春ソングと言えば「海岸通り」ですが、敢えてこの「自閉探索」をチョイス。
それは僕がひねくれ者だから.......というのもあるのですが(否定はしない)、流れとして荒々しい曲が欲しかったので。
やっぱ『君繋~』の頃の初期衝動感は格別なんですよねー。歪んで無骨なギターに、ゴッチの必死な叫びが乗って、あぁもう最高。今の円熟したアジカンとは、また別の魅力があります。

曲調は非常に暗くて春っぽさはなく、歌詞も内省の極みみたいな感じで、春要素は次の部分のみ。しかし、自分にとっての春に一番近いのはこのフレーズかも。

憂う春、芽吹かぬままに

世界と繋ぐのをよしてしまう

塞がる手立て

新生活の希望!みたいな前向きさが微塵もなくて、ただただ自分の殻に閉じこもって苦悩する感じに共感できてしまいます。
こんなもんですよ。僕にとっての春は。

うぉううぉおおおぉぉぉおおおおおおぉぉぉ.......。

 

 

5. 春待ち/amazarashi

最近聴き出したamazarashiから。
ポエトリーリーディングの手法を採っているのですが、とにかく歌詞が凄まじい。
サビ(?)で怒涛の如く韻を踏みまくっていて、その言語センスに圧倒されます。

個人的にお気に入りのフレーズはここ。

やおらに 描く歌詞 価値なし 春待ち

こんだけ素晴らしい詞を書いておいて「価値なし」と自分で切り捨ててしまう容赦のなさが、何とも言えず好き。
一見ネガティブっぽいんだけど、”いくら言葉が無価値でも、いずれ来る春という季節が救ってくれるはず”という祈りも「春待ち」の一言に見出せるから、案外暗くないんですよね。

そこからどんどんドラムの存在感が増して、声のトーンも上がって、春目前って感じに高鳴っていくのも良いですね。ドラマチックな展開に、春の芽吹きを予感します。

花咲き 秒読み かすかに 注ぐ陽

幸先 この日に 去る街 春待ち

春を目前に控えた人間の、期待と不安が入り混じった心の内を繊細にスケッチした一曲でした。

 

 

6. 晴る/ヨルシカ


www.youtube.com

すっかりハマったヨルシカの、最新リリース曲。

峻厳な高地に訪れる春を思わせる、爽やかな曲です。
直前までの鬱々とした春への憂いが、文字通りスカッと晴るイメージでここに置きました。

ただ澄み渡る晴れ空を歌うのではなく、心を打つ激しい雨の存在もしっかりと刻んだ上で、それを肯定する言葉として”晴る”を使っているのがまぁ素晴らしいこと!

降り止めば雨でさえ

貴方を飾る晴る

このマインド、好きすぎるな。

フリーレンを見ていないので、ここが作品の要素を拾っているとかは分からないのですが、晴る=春、の言葉遊びとか、ビイドロに春荒れ、羊雲などの言葉選びが流石だなぁ、と一々感心してしまいます。

それとギターがカッコよすぎて、初めて聴いた時笑ってしまいました。
イントロからサビまでずっと、右ギターが最高に気持ちいい音しか鳴らしてない。
そこにsuisさんのエネルギッシュで、それでいて儚さもある歌声が乗ることで、言葉と音の持つ詩情が最大限に引き出される。
やっぱこういう疾走感あるギターロックが、ヨルシカの本領な気がしますね。

 

 

7. 花唄/AJISAI 


www.youtube.com

続けて爽やかなギターロック!
ここからどんどん空気が温かくなっていきますよ~。

あまり大っぴらにできないのでぼかしますが、某動画サイトにある某漫画の映像作品でこの曲を知りました。なのですみませんが、AJISAIについてはほぼ知らないも同然です。でもすっごくいい曲なので入れました。

イントロからずっと鳴っているギターリフがやさしくて、素直に前を向けるような力をもらえます。
編成は王道の4人編成で純粋なバンドサウンド、リズムもエイトビートとシンプルなんだけど、やっぱそれがベストなんだよなって、この曲を聴いていると思わせられますね。

サウンドと同様に、歌詞も非常にストレートで、それでいて素敵です。
路上に咲く花の、飾り気のない自然な美しさに、ふと目を奪われ想いを巡らす。そんな始まりの一場面は、なんとなく覚えのある人が多いのではないでしょうか。
その花の健気な佇まいを人の生き方に重ねるのも、言ってしまえばありがちなのかもしれない。でもやっぱ心の底から共感できる願いだなと思います。
野に咲く花のように生きてゆけたら、どんなにすばらしいことか。

特にBメロはメロディの良さも相まって、ジーンと来てしまいます。

この街の中で

みんな同じ悩みや孤独を抱えてる

それでも君のように強くなれるかな

ほんとそうだよなぁ......。

 

 

8. 春が来てぼくら/UNISON SQUARE GARDEN


www.youtube.com

前半パートのフィナーレはユニゾンの「春が来てぼくら」!。
先述した3月のライオンのOP曲でもあります。

この方たち特有の聴いていて楽しいバンドサウンドに、ストリングスの音が重なることで、とてもあたたかみのある音像になっています。
瞼を閉じればそこに、春のうららかな昼下がりが広がるよう。
ボーカルである斎藤さんの歌い方もやわらかくて、聴いていてやさしい気持ちになりますね。

失礼ながら個人的にユニゾンは歌詞が難しくて、聴いていると(筆箱はジョーズ???)とか(なんで三角関数???)みたいに困惑することが多いです。
しかし、この曲の歌詞は飲み込みやすくて、その上純粋に素晴らしいなぁと思います。

コトリパチリホロリみたいな擬音とか、サビの”友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした”とか、表現の隅々にどこかあどけなさがあって、良いんですよ~。
このふわふわしたかわいさに、3月のライオンを読んでいる時の感覚と、近しいものを感じます。

ただ、そこかしこにシリアスな一面もあって。
迷ったり、悩んだり、不安になったり、等身大で右往左往する足跡も垣間見えるんですよね。

そんな時に頼りになるものを示した次のフレーズが、とても好きです。

右左どちらが正解なのか なかなか決められずに道は止まる

けど浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へと

ほんと至言ですね、これ。
大切な人を悲しませないようにっていう想いは、きっと人の一番強い信念であり、迷った時に最も頼れるコンパスなのだと、ここの歌詞を聴いていると信じられます。

そして、日常の悲喜こもごもを綴った上で、すべてを包んでくれるような春の空気が、やさしく背をさすってくれる。

神様が呆れる頃

きっと暖かな風が吹く

この曲がOPだった頃は、零くんとひなちゃんが険しい苦難を乗り越えた後だったので、
雰囲気がピッタリだったのをよく憶えています。
まぁ原作ではその後、妻子捨男とかいう全創作作品でも稀に見る邪悪のせいでどデカイ波乱があるのですがね!(だからアニメの続きを見たいと言い切れないところある。声優さんの演技力によってはテレビをハリセンではたきかねない)

 

 

9. spring/[.que]


www.youtube.com

ジャンルとしてはフォークとエレクトロニカの要素を持ったフォークトロニカ(と呼ぶらしい)で、主にインスト曲を作られている[.que]さんの一曲。
プレイリストとしてはインタールード的な配置ですね。アルバムの真ん中くらいにインストとか短めの曲が入っているの、好きなので。

歌詞のことばっかくっちゃべっている音楽素人なので、あんまり話せることはないですが、この方の作る曲はとにかく耳心地が良い。
この曲はピアノオンリーで、明るい光をイメージするような、朗らかなメロディですね。

同アルバム内だと、テンポが速くカッコいいテクノ系の曲もあり、そちらも逸品です。
どの曲も決して濁らないというか、聴いてると絶対にいい気分になれるような音楽なのが凄い。多くの人が「いいね」という感想を共有できる、普遍的な魅力を持っているのだと思います。

あと、勉強中に流すといい感じに集中できるので、試験勉強のときに大変お世話になりました。

 

 

10. 中央線/tacica

tacicaの春の曲がねぇって途方に暮れてたけど、辛うじて春っぽいこの曲をねじ込みました。
ほら、タンポポって入ってますもんね!(唾吐かれてるけど)

歌われているのは中央線の遅延で、それはおそらく人身事故、もっと深読みすると多分、自死を示唆していると思います。タンポポは、それで亡くなられた方のメタファーなんじゃないかな。
自分の悲しみと他者の悲しみの重さは比べられないこと、いつ命が途切れるか分からないことに憂いつつも、最後に差し伸べられるあたたかい言葉にほっとします。

いつか誰かが残した陽だまり

その中を行く

もう歌詞は余すところなく大好きなのですが、触れているとキリがないので話題を移しますと、鳴っている音がとにかく心地良いですね。

実はこの曲、ドラムが打ち込みらしいです。規則的なリズムに、電車内の揺れを彷彿として、安心感を覚えます。
特にアウトロなんかは、聞こえてくるすべての音がやさしくて、それに全身をゆだねたくなります。う~ん、やっぱtacicaはいいなぁ。
こういうスローテンポや、ミドルテンポの曲も、彼らのバンドとしての欠かせない魅力だと思いますね。

 

 

11. やえ/日食なつこ


www.youtube.com

最近聴き始めた日食なつこさん。
去年のM-1のPVで、「ログマロープ」が採用されて話題になっていましたね。

この方はとにかく歌声がカッコいいのですが、「やえ」はしっとりと美しいバラード。
ピアノの穏やかさと裏腹に、サビのファルセットは力強くて、春の確かな息吹を感じさせます。

近年のリリースなので、”ほとんどもう破綻している世界において”という言葉が、リアルな手触りを持って頭に残る。
その中で支えになってくれた一人の影への素朴な思慕と、早咲きの八重の桜に重ねる別れが切ないです。

春の陽気に耐えられずに散っていく

僕こそ八重の桜かもしれない

 

 

12. 桜夜風/スキマスイッチ


www.youtube.com

引き続いてピアノがメインの楽曲。
世間的な知名度は(スキマスイッチとしては)低いですが、大変な名曲です。

もうなんかタイトルそのままというか。
アコースティックサウンドも、詞の描写も、すべてが春の夜気を纏っていて、もう「桜夜風」以外の何物でもない。桜夜風という概念そのものが音楽になって現れているような気さえしてきます。
だから聴いていると、もう何だか堪らないくらい、切ない気持ちになるんですよね......。

静かな曲なのですが、ラスサビ前くらいから一気に盛り上がるのも良くて、より一層強い手で感傷をくすぐられるのですよ。
このセンチメンタルの具合を言葉にできないので、喋る意味も最早ないですね。
ともかく、一人で歩く時の感傷も含めて、これだけ春の夜を巧みに再現した曲は中々ないんじゃないかなと思います。

 

私事ですが、音楽をアルバムやバンド単位でちゃんと聴くようになったのはここ5年ぐらいでして。その以前にアーティストを意識して聴いてたのはスキマスイッチが唯一かもしれない。
そんな訳でスキマへの思い入れはやっぱりあるし、「桜夜風」もかなり思い出深い曲ですね。

 

 

13. NIGHT BEAT/ORESAMA


www.youtube.com

80年代ディスコをエレクトロやファンクでリメイクした楽曲が特徴の音楽ユニット、ORESAMAから。

ディスコというと、ミラーボールがけばけばしく照らす喧噪に溢れたダンスフロア、みたいなのを陰キャの若輩者である僕は想像してしまうのですが(さすがにイメージが偏りすぎか?)、この曲はとても落ち着いていて、リラックスできます。
速くもなく、かと言って遅すぎもしないBPM120の心地良いリズム。
ギターリフもエモーショナルで、チルいことこの上なし。
夜のドライブとかに聴いたら、最高の気分になるに違いないでしょう。

 

残念なことにORESAMAは現在(2024年3月)活動休止期間中です。
この「NIGHT BEAT」は、活動休止前の最後にリリースされたミニアルバムに収録されていて、それを踏まえるとより味わい深いです。
音楽を続ける道中で抱えたいっぱいの思い出を、愛おしそうに懐かしむ感じがずっとあって。
その上で贈られる、ORESAMAを応援してきてくれた人たちへ向けたであろう言葉の数々に、ファンならずともうるっときてしまいます。

もう一度 目覚める時まで

おやすみNIGHT BEAT

揺れる子守唄 落ちていく

星々の海 また会えるように

こんなんほんとファンの人泣いちゃうよな......。
やっぱ、リスナーへの思いが籠められた曲って、心に残りやすい特別な魅力があるなって思います。

 

 

14. curtain call/kurayamisaka


www.youtube.com

安らかなまどろみから一転、目も覚めるような歪んだギターが耳をつんざきます。
こちらは近年結成(?)されたロックバンド、kurayamisakaの一曲。公開されている情報があまりないので、詳細はよう分かりません。

こういう激しいギターに重ねて、ボーカルが囁くように歌う曲、シューゲイザーって呼ぶみたいですね。
全然知らなかったのでジャンル自体への感想になるやもだけど、エレキのいかつい音と甘い歌声のギャップが面白いです。
音としては激烈にうるさいはずなのに、幽かな声が乗ることで、ノイズのような轟音が却って儚さを強調している、不思議な感じ。なにこれ、好き......。

歌っていることも、洗練されていて、潔いです。
卒業式が終わり、静寂だけが残った教室で、大切な人へ別れを告げる。

歌詞の文字数が少ない上、同じようなフレーズが三回繰り返されるんだけどその代わりに切ない感情を、聴いているこちら側へ念入りに刷り込んできます。

忘れられないよ

でも、さようなら

僕ら行かなくちゃ

だけど センチメンタルな匂いで

上手く言えないな

”でも、さようなら 僕ら行かなくちゃ”の、お互い前を向かざるを得ないことを十分理解している感じが絶妙ですよね。
それでいて”センチメンタルな匂いで 上手く言えない”のが堪らん。切なすぎ。

この曲が収録されている『kimi wo omottei iru』の全曲解説をkurayamisakaのコンポーザーの方がブログでされています。そちらも面白かったので貼っておきますね。

note.com

 

 

15. 忘れられないの -Rearrange 2020-/サカナクション

サカナクションの名曲「忘れられないの」、の去年出たリアレンジ版ですね。

オリジナル版はウィンドチャイムのキラキラした音で始まり、ジャン!みたいなド派手なシンセが目立つ、煌びやかな曲でした。
対して、リアレンジでは音の色味がグッと抑えられていて、それにより元だと仄かに感じる程度だったエモーショナル要素がマシマシに。
ゆっくりとした四つ打ちの心地良さもあいまって、めちゃくちゃセンチメンタルに浸れます。

特にサビ前のアコギ一本で弾き語る箇所の切なさったら、もうね......!
サカナクションと言えば、テクノとかEDMのエッセンスがイメージされがちな気がします。
でも、彼らは「アコギ1本で成立しない曲は絶対にやらない」という信条を持って楽曲を作っているだけあって、アコギの音と山口一郎氏の歌声だけでも十二分に魅力を発揮してくれるんですねぇ。

あと、原曲だとフェードアウトして途中で途切れちゃっていたギターソロを全部聴けるのも、非常に嬉しいところ。
再生する度(最後まで聴かせてくれよ~)って思っていたので、念願が叶いました!
エモーショナルかつカッコいい、良いギターソロだぁ.......。

別れを経て時が経って尚残り続ける、「忘れられないの」という感傷が、脆くも美しい一曲です。

あと、大分前に発表されてましたが、本格的な活動再開がとっても嬉しいです!
理由が理由だっただけに、心配なところもありますが、ゆっくりと歩んでいってほしいですね。

 

 

16. 風を食む/ヨルシカ


www.youtube.com

ラストは再びヨルシカ!
ここまで一アーティストにつき一曲で来たので、ダブりは避けるべきかもだったのですが、春のプレイリストを作るとなった時から一番好きな春の曲である「風を食む」は絶対入れたかったし、「晴る」も流れ上外せなかったので。
「ヨルシカとtacica以外にも聴いている曲を知りたい」という要望をガン無視しているような......。
でも本当は「春泥棒」や「ブレーメン」「花人局」あたりも入れたかったのをグッとこらえたので、許していただきたい。この通りですから!(どの?)

 

そんな私情はさておき、本当にいい曲なんですよねぇ。
ナチュラルな音作りが徹底されていて、聞こえてくる音すべてが綺麗。
楽器だけじゃなく、鼻歌とか息を吸う音も入っていて、それにすごく癒されます。

そして何より、歌詞が美しくてですねぇ.......。
”風を食む”なんて言葉自体が趣の結晶みたいなものですが、それが花の終わりの情景と合わさって、心のより深いところに呼応します。

春が先 花ぐわし

桜の散りぬるを眺む

今、風を食む

散りゆく桜に馳せる、詫び錆びの美しさ。
国が云々という話題はあまり好きじゃないのですが、こればっかりは日本の原風景であり、壮麗な観念なのだと思います。
諸行無常イデアが根底にあるからこそ、桜と感傷は切り離せないし、「風を食む」もここまで響くのではないでしょうか。

何回も”貴方だけ”と繰り返しながら終わっていくのも、余韻が残っていいんですよ......。
静かに閉じていくアルバムが好きなので、フェードアウトの曲で終わるのは、このプレイリストのこだわりポイントです。

 

 

以上、異常に長くなったプレイリスト解説でした!

こうやってちゃんとプレイリストを作るのは初めてだったのですが、楽しかったですねー。
流れを考えて、このパターンいいなとかこっちも捨てがたいみたいに悩む面白さがありました。
リクエストをもらわなかったら、この楽しみもなかったですね。
改めてリクエストいただきありがとうございました!

できあがったのを聴いてみると、好きなアーティストの好きな曲ばっか流れてくるので、作った奴天才か?ってなります。自分で作ったのだから当たり前すぎるんだけどね。
僕以外の人が聴いても良いプレイリストになっていたら幸いです。
ゆくゆくは、他の季節のものとかも作ってみたいですねー。

では、ここまで読んでくれた貴方のもとへ、やさしい春風が吹くことを祈り、筆を置かせていただきます。
じゃあ、さようなら。

 

あーマジ花粉無くならねぇかな。